生物処理による分解が不可能な難分解性有機化合物(難分解性COD)を含む廃水処理では、物理化学的処理が一般的です。物理化学的処理法には、オゾン処理法、フェントン法、過酸化水素と紫外線の併用、高温酸化法、焼却処理法などが有ります。しかし、何れの方法も処理コストが高く、大量の廃水には不向きです。
表:複合処理法と従来物理化学処理法との比較
本処理方法は、廃水の電気分解によって有機物を酸化処理し、有機酸などの生物処理可能な物質へ変換したのち、既存の活性汚泥処理法を用いて生物処理を行うものです。
本処理装置方法は、弊社の親会社である旭興産(株)、宇部工業高等専門学校、山口県産業技術センターの3者で共同開発したものです。販売は弊社が担当しております。(3者の研究開発成果報告)

  
電気分解−活性汚泥複合処理装置
(左:電気分解槽、右:活性汚泥処理槽)

電気分解−活性汚泥処理複合処理方法の原理と効果

基本的には水の電気分解と同じです。廃水中に塩分などの電解質が含まれる場合、廃水をそのまま電気分解する事によって塩素などの酸化剤が発生して有機物の酸化が行われます。しかし、電解質が含まれない場合、水自体の電気分解で酸化剤を発生させる事はできますが、効率が悪く、電力コストが高くなります。
したがって、廃水中に電解質を含まない場合は岩塩や海水を添加した上で電気分解を行います。この場合、NaClが電気分解されて発生する塩素や次亜塩素酸が非常に強力な酸化剤となり、有機物を酸化分解して有機酸に変換します。(図:電解塩素による有機物の酸化機構)
有機酸は容易に生物処理されるため、廃水中の難分解性有機化合物(難分解性COD)が有機酸に変換された時点で電気分解を止め、生物処理へ移行します。
酸化反応は、下記@〜Bが同時並行的に進行すると考えられます。
@ 酸化され易い官能基が酸化される。(BODの低下)
A 芳香族環などの難分解性構造が酸化され、有機酸に変換される。(BODの生成)
B 生成した有機酸が更に酸化分解され、低分子量の有機酸に変換される。
本処理方法では処理コストの関係上、難分解性有機化合物(難分解性COD)を生物処理が容易な化合物(有機酸)へ変換する事を目的としており、主に@およびAの反応を利用します。
この時、難分解性有機化合物中の芳香族環や二重結合は酸化され易く、これらの構造を含む難分解性有機化合物の分解処理に適した方法と言えます。また、窒素化合物も同様に酸化され易いため、難分解性有機窒素化合物の脱窒素処理にも好適です。
例えば、本処理方法をABS樹脂の重合廃水(NaCl:2%含有)に対して適用した場合、最終的にTOCおよびCODで90%、BODで95%の除去率が得られました。特に、TOCを見た場合には電気分解で60%以上の除去率が得られております。(下の適用事例を参照して下さい。)

本処理方法では、電気分解により発生した酸化剤が残存します。しかし、処理を途中で止めておりますから、処理水をそのまま生物処理することが可能です。また、残存する酸化剤によって汚泥が酸化されるため、従来の活性汚泥処理と比較して余剰汚泥発生量が少ないのが特徴です。

本処理方法は、COD値:〜数1000mg/lの高濃度の難分解性有機化合物を含む廃水に有効です。(但し、NaClを含む廃水に限ります。)
また、本処理方法は芳香族系や窒素系の難分解性有機化合物の他にも、有機金属錯体の処理、高分子量物の低分子化処理、染色廃液の脱色処理などの用途に対しても使用できます。
廃水の種類 対象となる難分解性有機化合物
乳化重合廃水(ABS樹脂) 芳香環含有界面活性剤、
アクリロニトリルなど
懸濁重合廃水(PVC樹脂) 高分子系分散安定剤、残存PVCなど
写真現像廃液 芳香族アミン類、キレート錯体など
医薬中間体製造廃水 未反応原料、残存中間体など
半導体フォトレジスト廃水 残存製品など


(製品紹介へ)      (What’s newへ)